代表者メッセージ

代表理事 末吉竹二郎

昨年6月に開催された国連持続可能な開発会議、いわゆるリオ+20にあわせて、世界の金融機関が「自然資本宣言」をまとめ、金融商品やサービスの中に「自然資本」という考え方を取り入れていくことを提唱しました。気候変動、生物多様性の劣化、貧困といった地球規模の課題が深刻化していますが、これは、我々人類の生存基盤である生態系サービスを提供する自然資本のストックが、従来の経済システムにおいて適切に価値評価されていないことに起因する、との問題意識に立ったものです。

我々は、将来世代も含めた人類の生存のための真のコストを認識し、より長期的視点に立って経済活動をグリーンに変えていく必要があります。その中で重要な役割を担うのが金融です。金融の役割は、「社会が必要とするところに効率的にお金を流すこと」です。従来のお金の流れが、自然資本を過剰に利用する形のものであったならば、これとは違う新しいお金の流れを生み出していかなければなりません。これは、金融の責務であり、金融が、社会から必要とされ信頼される存在であり続けるために不可欠のものであると考えます。

世界の金融セクターは、1992年の国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)の設立以来、地球規模の課題の解決のための連携を深化させてきました。2006年には国連責任投資原則(PRI)が制定され、活発な取組が行われています。各国においても、例えば、英国のグリーン・インベストメント・バンク、豪州のクリーン・エネルギー・ファイナンス機構の設立など、グリーンな金融を促進するための取組が進んでいます。

我が国においても、こうした金融の機能と21世紀の使命に対する認識が深まりつつあります。平成23年10月には、我が国金融機関の取組として「持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則」が誕生しました。金融セクターが、その担うべき役割と責任を認識し、新しい経済モデルの構築をリードしようとしています。

こうした中、一般社団法人グリーンファイナンス推進機構は、平成25年5月8日、産声を上げました。経済のグリーン化に向け、金融に関する情報の収集・提供活動、事業支援等を行い、金融の真の役割の確立と発揮に向けた取組を支援し、推進してまいります。

当機構の活動がその目的を達成するためには、金融機関、地域住民、事業者、NGO/NPO、地方公共団体など、関係各方面の皆様との連携・協力が不可欠です。今後とも、より一層の御支援・御協力を賜りますようよろしくお願いいたします。

一般社団法人グリーンファイナンス推進機構 代表理事 末吉竹二郎