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~群馬バイオガス発電プロジェクト~株式会社 エナリス 取締役会長 久保 好孝氏 |
平成26年05月13日
PJ概要: | 群馬県の食品工場内における、食品残渣を原料としたバイオガス発電プロジェクト |
総事業費: | 8億円予定 (うち、グリーンファンドより1億円の出資決定) |
PJ所在地域: | 群馬県明和町 |
CO2削減効果: | 1,156t/年(想定) |
事例紹介: | http://gf.eic.or.jp/example/interview/case1004_01.pdf |
当社は電力エネルギーの流通分野において川上の発電から川下の消費に至るまでの電力事業を水平展開しています。具体的には、川下の需要者に対しては、節電支援による量的削減と最適な電源ミックスを組み込んだ調達代行による質的(単価)削減を組み合わる方法でコスト削減メリットを提供し、川上の発電事業者に対しては、大企業を中心としたグリーン電力に対する需要の高まりが定着しつつある中、好条件での電力販売に向けた各種サービスを提供しています。
当社の元々のメイン事業は、特定規模電気事業者(新電力、PPS)の需給管理事業でしたが、それを推進する中、川上のパワーマーケティング事業にも領域を拡大し、再生可能エネルギー分野の電源開発に取り組むようになりました。なかでも、稼働率が高く、電源として安定しているバイオガス・バイオマス発電には注目しており、今回のプロジェクトも、その流れの一環としてバイオガス発電に当社として初めて取り組んだものです。
今回のプロジェクトは小規模なものではありますが、これを皮切りにバイオガスやバイオマス発電事業を進めていきたいと考えています。
一番苦労したのは資金調達ですね。バイオガス・バイオマスの分野はまだまだ実績が少ないため、金融機関や投資家の理解が十分進んでおらず、説明に大変苦労しました。その中で機構に出資決定頂く際に、共同して技術的調査や各種リスク整理を行うことができ、プロジェクトを進める上で、大変良い影響がありました。
資金面以外では、関係者が多いので全体のスキームをどのように構築するかというところも課題でした。
一番の特徴は、食品工場の敷地内に発電所を建設するオンサイト型な点です。建設場所や原料である食品残渣の供給も安定していることから、発電事業の安定性に寄与すると思います。
これまでありそうでなかなか無い事業モデルということで、本件を発表した後には、他の食品工場からもかなり問い合わせがありました。
現時点でも現地の見学者は大変多く、食品メーカーも本件の動向を注視しているように感じています。今回の事業が無事に立ち上がって想定通りの発電実績を示していけば、今後同様の取り組みを検討する工場も増えてくるのではないでしょうか。
一番の特長は、ドイツ製の発酵タンクとガスエンジンを利用している点です。短期間で建設でき、かつローコストなこともあり、ヨーロッパでは標準的なものとなっている実績ある設備です。
バイオガスの場合、技術的にはガスエンジンの性能が重要です。特に、バイオガスはLPG等と比べて品質が不安定なため、許容されるガスの品質の幅がポイントとなりますが、今回の設備はこの点が優れていました。
国内でも今後バイオガス事業が広がって需要が増えていけば、開発が進むのではないかと思います。国内メーカーにも同レベルの物を開発していって欲しいですね。
FIT制度が立ち上がって2年、制度の導入で再生可能エネルギー分野の事業機会は拡大しましたが、今後更に拡大させていくためには、これまでの状況を踏まえて制度をどんどん改善していって欲しいと思っています。
バイオガスやバイオマスに関して言えば、発電規模が小さくなると単位当りのコストが増加するため、地域におけるニーズが高い小規模事業が中々進んでいません。
風力では洋上風力の買取価格をアップさせましたが、そのような思い切った取り組みをバイオガス・バイオマス分野においても実施し、規模によって買取価格に差をつければ、地域の小規模事業でも利益を確保できるものと考えています。
そうすれば、より多くの地域の事業者が発電事業に参入でき、結果的に電力の地産地消が一層進み、地域経済に良い影響を与えるものと思っています。
社名 : 株式会社 エナリス
創業 : 2004年12月
本社所在地 : 東京都千代田区神田駿河台2-5-1 御茶ノ水ファーストビル 14F
企業HP : http://www.eneres.co.jp/